Q&A
・もろずみけい?諸角 敬から変わりましたか?
・建設費はどの程度から受けてもらえますか?
・設計料ってどのくらい?
・設計期間はどのくらいかかりますか?
・東京以外、地方でも仕事はされるのですか?
・studioAでは、設計と施工両方行うのですか?
・設計施工、一括受注など良く耳にしますが?
・土地がなくても相談に乗ってもらえますか?
・studioAの由来は?
・設計は住宅専門ですか?
・経歴、職歴は?
・エコロジーについて?
・設計で重要なポイントは何ですか?
・重要なポイントを住宅の設計でどの様に取り入れてますか?
もろずみけい?諸角 敬から変わりましたか?
いや、お恥ずかしい。
ひょんなことからなんですが2012年に東京デザイナーズウィークに出展した時、事務局の手違いで会場での名前表示、パンフレットの名前などすべてが「諸角 敬」ではなく「もろずみけい」になってしまいました。
気がつくのが遅くて変更できず、そのまま出展してしまったのですが、「分かりやすい、優しい感じがする」と以外に評判がよく、気に入ってしまいました。
ということで、2013年の春頃から「もろずみけい」を使っています。完全に変えてしまったのではなく、サインやメールではまだ諸角 敬を使っています。
建設費はどの程度から受けてもらえますか?
東京近辺と地方では坪単価で言うと10万円以上違います。時期(バブル期)によっても坪単価で20万円以上違うことが過去にありました。2010年の東京の数字でお話ししましょう。
標準的な4人家族の住宅ですと最低30-35坪程度の広さが欲しくなると思いますが、そのようなケースだとずばり、2500万円〜です。
もちろん、1000万円台で建てることもできますが、プラスティック製の建材増えたり、耐久性の問題もあり最終的にローコストの住宅はメンテナンス費用がかなりかかることが多くなります。
設計料ってどのくらい?
住宅の場合10-15%程度です。
昔は建築士会が設計料率を定めていたのですが、現在は国土交通省が料率ではなく人工から計算して出す方法を出しています。それから料率に換算すると一般的な住宅の場合20-23%となります。
studioAでは、旧建築士会で定めていた料率と、国土交通省が新たに定めた設計料の両方を参考にして、独自の料率を定めています。住宅で工事費3000万円の時、約13%になります。工事費が高くなれば料率が下がり安くなると上がります。またローコストの場合は料率ではなく200万円~にしています。構造設計料や設備設計料はその中に含みます。
規模にもよりますが、マンションや事務所ビルは住宅より割合が低く5-8%程度になります。
設計期間はどのくらいかかりますか?
住宅やビルでも一年から二年は掛かります。一般的には住宅の相談にこられてから入居まで1.5年を目安にして下さい。
住宅メーカーなどで示されるスケジュールより大分時間がかかりますが、やはり個人にとって住宅は一生で一番高い買い物。十分に話し合ってこちらの住宅または建築に対する考え方をしっかりと受け止めてほしいと思っています。
東京以外、地方でも仕事はされるのですか?
もちろんです。設計料は同じ料率で受けています。但し交通費は別途頂くことになります。
今まで首都圏以外で行った仕事は
小倉、西宮、大阪、名古屋、新潟、富山、浜松、中国(外国だ!)などです。
studioAでは、設計と施工両方行うのですか?
よく聞かれる質問ですが設計と施工は同じ会社が行ってはいけないと、建設業法という法律で決まっています。
昔から良心的で腕の立つ大工さんに直接仕事を頼むという習慣がありますから、まだ設計と施工を混同している人が多いのも仕方の無いことと思います。
大きなビルになると何億ものお金が動き、きちんと契約通りの施工がされているか、お金が不適正に流れていないかを監理する必要がでてきます。住宅のような小さなものでもこれは同じ事が言えます。
そのための資格として一級建築士や二級建築士の資格があるわけで、決してデザインが上手いとか発想が豊かであるとかいう能力とは関係のない資格です。
株式会社と会計事務所の関係、監査法人の関係と似ているといえます。
設計施工、一括受注など良く耳にしますが?
同じビルで同じフロアーにあったとしても書類上は二つの会社になっているはずです。小さな工務店でもそれは同じです。
土地がなくても相談に乗ってもらえますか?
相談にいらっしゃる方で,土地を購入した後にいらっしゃる方がおります。もちろん予算内に収まっていると良いのですが,往々にして土地の値段で建設費が食われてしまっています。
studioAでは土地と建物だけでなく、設計料、ローンの手数料、登記費用などすべてを含み予算を組んでいます。
その他建築家の目からみると建主や不動産屋さんとはまた違った評価になることもありますので、早めに相談に来てもらい参考にしていただけるとよろしいかと思います。
studioAの由来は?
スタジオ アーという名前。なぜスタジオなのか?なぜエーでなくてアーなのか?
撮影のスタジオ、美容院などもスタジオと名乗っていますが、本来studioとは勉強、書斎、企画、弁護士建築家などの事務所という意味であり、ヨーロッパの多くの建築事務所はstudioと呼ばれています。
私も1年間イタリアの設計事務所で働いていたこともあり、自分の設計活動も広い視点で物事を見つめながら仕事を進めていきたいと考えているため、・・建築設計事務所ではなくstudioという名称で仕事をすることにしました。
また「A」ですが、fromAではありませんが、いままでの慣習、常識にとらわれることなく物事を一から考え直すという姿勢を表しています。
それなら、なぜエーでなくアーなのか?イタリア語ではなく、フランス語、ドイツ語、スペイン語それから日本語も英語を除く世界中ほとんどの言語はアという発音で始まっています。人間が発声する言葉の中で一番簡単で基本的なものだからだと思います。逆になぜか英語だけがエーです。別に英語に逆らってアーと読むことにしたのではなく、
<一から物事を考え直す>と言う考えにふさわしい読み方としてアーという読み方にしました。
設計は住宅専門ですか?
いいえ。元々住宅が好きでしたから住宅の仕事が基本となりますがビル、マンションも建てていますし、店舗もやります。
今後はせっかくイタリアでプロダクトの仕事もしていたので人の手の中にはいるようなモノの仕事も増やしたいと考えています。
住宅以外では今までにガソリンスタンド、パチンコ店、オフィスビル、マンション、医院、茶室、自動車の修理工場・・・など色々と設計してきました。
ある専門分野に特定して設計していると効率もよくなり間違えも少なくなるでしょう。
しかしそのために失ってしまう物の方が遙かに多いのではないかと思っています。場所があてがわれてその場に要求された機能の建築を立てるという行為はその建築物の名称が住宅であろうとオフィスであろうと同じように要求を分析し回答を導き出さなくてはなりません。たとえ小さなアクセサリーであろうと同じプロセスであると考えます。
ここら辺の考え方はたぶんイタリアにいたときに身に付いたのでしょうが、アーキテクトの職能をそのように考えて設計を行っています。
経歴、職歴は?
た当時はオイルショックの頃で全くといってよいほど就職先がありませんでした。
元々小さなスケールの設計が好きだったのですが、運良く大学を出てすぐに林雅子先生、山田初江先生、中原暢子先生三人で運営していた事務所、林・山田・中原設計同人に入ることができ、そこで5-6年勉強させてもらいました。
その後イタリアに行きミラノのアンジェロ・マンジャロッティーの事務所で1年勉強して1985年に独立し、現在にいたっています。
林・山田・中原設計同人では個人住宅の仕事がほとんどでした。1990年以降は豪邸ばかりになってしまいましたが、入所した頃は木造のローコストなども手がけておりその後コンクリート壁構造の住宅がメインになり、7-8件担当しました。
住宅ばかりやっていたので心機一転イタリアに渡りマンジャロッティーの事務所に行ったわけです。
マンジャロッティーの事務所では全く環境が変わり、大きなものは超高層ビルからティーポット、家具までデザインといわれるもの全般にわたりやりました。新築の物件少ないため、ミラノでは家具などのプロダクトデザインが設計事務所の主な仕事です。あるシステムを考え出し、そのシステムを使って塔を考えたり椅子を考えたりと、全く別物に見える二つの物も実は同時期に同じ机の上で考えられていたりすることに新鮮な驚きと歴史の深さを感じました。さすがにダビンチを生み出した国だなーと。
日本に帰ってきたのが1985年。すぐに事務所登録をして設計事務所を始めたのですが4-5年はまったく仕事が無く、計画案ばかり増えていきました。建物が建てられるようになったのは90年頃からで、今に至っています。
一作目で東京建築士会住宅賞をいただいたのはとてもうれしかったです。
エコロジーについて?
エコロジーを全面に出した住宅の広告などよく見かけるようになりましたが、私は施主の要求と同じく満足しなくてはいけない要求事項の一つと考え事務所設立当時から対処しています。
室内環境も同じで環境ホルモン、対アトピー対策など話題になりましたが、その前も塩ビ製品はなるべく使わないようにしてきました。この頃は機能性クロス(調湿効果、脱臭効果のあるもの)などありますので使っていますが(笑)。
データに基づき避けていたわけではありませんが、直感で避けていました。
建築家といわれる人の多くはこのような直感を持ち合わせています。
設計で重要なポイントは何ですか?
建築の多くは雑誌というメディアを通じて一般の人に知れ渡ります。しかし雑誌が伝えてくれる情報は人間の持つ五感の中で視覚情報だけで、そのため見栄えのよい建築がよい建築、と誤解されているところがあります。
私は逆に視覚的にデザインするだけでなく触覚、嗅覚、聴覚などからだ全体で感じるよい空間が優れた空間であると考えます。分かりやすく言うと京都のお寺の庭で感じる、すがすがしい空間と、人工的に創り出されたテーマパークの違いといえるでしょうか。
重要なポイントを住宅の設計でどの様に取り入れてますか?
風と光をデザインしたり、直接ふれるところの素材に気を付けたりしています。
もう一つ重要なことは周辺環境と一体となった建物です。
風が通り抜けコントロールされた光が満ちあふれる住宅は設備機器に頼らない住宅とも言い換えられるでしょう。現在の住宅は設備に頼りすぎています。
昔、三浦半島に住んでいた時,部屋にクーラーはありませんでした。もっとも都心と三浦では夜の気温が5-6度違いますから、都心の住宅でそれを強要しようとは思っていませんが。しかし周りの家を見ても皆クーラーを付けている状況を考えるとやはり機器に頼りすぎていると思い直します。
季節の変化を肌で感じるような住宅にしたいと思います。夏暑くて冬寒いのでは困りますが(笑)。
近頃の老人ホームの使われ方はそれとは全く逆の考え方です。館内は完全に空調されて春や秋の過ごしやすい時期にも決して窓の開くことはありません。空気は加湿され風邪をひきにくいようにコントロールされているからです。
養鶏場では卵をよく産むように真夜中でも電気を煌々とつけ、ニワトリの体内時計を狂わせる操作をしているのをご存じですか?
目的は違っても同じ事と言えないでしょうか?
気を付けないと我々の住宅も養鶏場化していってしまうでしょう。そのためにも今一度原点に返って自然の空気や光を楽しめる住宅をつくっていきたいと考えています。
水盤のあるクリニックでは待合室と診察室の間の空間に浅い水盤を設け、患者さんの気持ちを少しでも安らげようと考えそこに落ちる水の音で空間を演出しています。屋上緑化も1995年頃から手がけており単なるファッションとしてでなく早くから断熱による省エネ、緑化による都心環境の維持を行ってきたつもりです。
詳しくはTopページからConceptをご覧ください。