Concept

ぼくがいつも設計している時に考えていることは、内部と外部が一緒になったような建築だ。

洞窟のように閉ざされた空間を演出し、劇的な空間を造るのも建築家の醍醐味かもしれない。

だけど外に出たらいつの間にか暗くなっていた、雨が降っていたなんて建築をぼくは造りたくない。

内部からだんだんと外部につながり、中にいてもいつも外を感じられるような建築が好きだからだ。

だから今まで造ってきた建築は小さな住宅でも、オフィスビルでも、自動車修理工場でも、

そしてプライバシーが要求されるクリニックでも,中にいながらいつも外が感じられるような空間を目指してきた。

部屋から満月を楽しみ ,吹雪の凄さを感じ,雷が海に落ちる見られる家,で過ごし生活の中に新しい発見がある。

これは今まで立てた施主から直接聞いた言葉だ。

設計をしていてそんなことを聞いた時が一番嬉しくなる。


コンピューターで制御され、インターネットでどことでも繋がる時代だからこそ、自然と深く関わり合いながら、

機械に頼りすぎることなく冬に暖かい日差しを感じ、夏は木陰の涼しい場所にいるような空間。

そんな建築を目指していきたい。

                                 2020年5月 studioA / もろずみけい